世界史小ネタ帳

本から拾ってきたことをやたらめったらメモします

1000年前のギリシャが先進国だった

ギリシャといえば、神話などで有名な古代ギリシャ

そして経済危機で有名な最近のギリシャのイメージが強く、

得てして真ん中がすっぽ抜けがちですね。

 

ところが1000年くらい前のギリシアは、

他のヨーロッパ諸国をしのぐすごい先進国でした。

どのくらい先進国だったか、

当時ギリシャの都を訪れたヨーロッパ人の感想がこちらです。

 

皇帝の玉座の前には金箔を張った鉄の木が立ち、枝にはさまざまな種類の鳥がところせましと止まっている。鳥は同じく鉄製で金箔が張られ、さまざまな歌声をひびかせていた。玉座も巧みに仕掛けがしてあり、低く見えたかと思うと……次の瞬間にはかなり高い位置にまで上がっていた。金属あるいは木製の、金箔を張った巨大な獅子が玉座の両脇をかため、尾を床に打ちつけながら、口を開け舌を動かし吠え声をあげる。

広間の中、わたしは二人の宦官に伴われ、皇帝の御前へと連れてこられた。中に入るとき、獅子が吠え、鳥が歌った。……しかし三度ひれ伏し、そのあとで顔をあげると、はじめはわたしより少し上に座しておられた皇帝が、広間の天井に届かんばかりの高さにおわし、衣服までも変えておられる。いったいこれはどうしたことか、皆目訳がわからぬ……

 

どうやら皇帝は小林幸子的な演出付で謁見していたようです。

読んでいる現代のわれわれをも、わけがわからなくさせる辺りに力を感じます。

 

上のレポートがどこまで事実を伝えているかは置いておいて、

当時のギリシャは、名前を東ローマ帝国ビザンツ帝国)といい、

古代に地中海全域を支配したあのローマ帝国の後継的ポジションにありました。

 

古代ローマ帝国は、ゲルマン人の侵入などによって4世紀に分裂、

西ローマ帝国東ローマ帝国にわかれました。

そして西ローマの方は100年弱で滅びますが、

東ローマの方は生き残り、その後1000年あまり続きます。

 

それゆえ、東ローマ帝国ギリシャ)は、古代ローマ帝国の遺産を受け継ぎ、

なおかつ東からやってくるイスラーム勢力の科学も吸収するという、

引きこもりがちな西ヨーロッパをはるかに超える発展ぶりを見せていました。

 

13世紀になると、自分で呼んだ十字軍に一度滅ぼされるなど

だんだん残念ぶりが増していきますが、

コンスタンティノープルの陥落などドラマティックな最期も魅力ですので、

あえて、ギリシャといえば中世だよね~!と攻めてみるのもいかがでしょうか。

 

※引用はノーマン・デイヴィス著・別宮貞徳訳の『ヨーロッパⅡ中世』(共同通信社,2000年)より