世界史小ネタ帳

本から拾ってきたことをやたらめったらメモします

皇帝ネロの(わりとどうでもいい)エピソード

 ネロ帝といえば、暴君のイメージに加え、近年はゲーム等いろいろなところでモチーフになっていたりしますね。

 そんなネロ帝の、ちゃんとした説明・逸話はWikipediaにまかせ、ここではスエトニウスの『ローマ皇帝伝』(噂話なども含むため真偽は定かでない)より、個人的に気に入った話を放り投げたいと思います。

  

 死刑を宣告されていたある罪人の刑執行について、慣例により承諾の署名を求められたとき、ネロは「字を知らなければいいのに」と言った。

人気取りに執着していた(あるいは実際に人気があった)ネロらしい、あざとさの感じられるよいエピソードです。

 

この最大祭の期間に、毎日ネロは、ありとあらゆる種類の土産券を国民にばらまいた。日々あらゆる種類の鳥が千羽ずつ、幾種類もの食品、穀物の無料購入切符、着物、金、銀、宝石、真珠、絵画、奴隷、家畜、飼いならした野獣まで、ついには船舶、共同住宅、畠地もあった。

これは記録に残る類の話なので、本当にやったのでは…?とも思われます。ネロ祭を開催している某ソシャゲもこれくらいの大盤振る舞いをしてくれるといいですね。

 

 まずナポリで舞台に姿を現わした。そのとき突然地震がおこり、劇場が揺らいでいたのに、ネロはうたい始めた曲を終えるまで止めなかった。

とにかく歌いたがることに定評のあるネロですので、歌唱系エピソードはかなり充実しています。 

屈強な若者を五千人以上も、各地から選り抜き、彼らを組に分けて、いろいろの拍手の仕方―<中略>―を学ばせ、そしてネロがうたっている最中、応援させた。

今でいうコールかもしれません。ちなみにいろいろな拍手というのは、蜂やレンガに例えられていて、①パチパチパチ…と素早く叩く、②両手で空洞をつくり低く響くように叩く、③大きな音で強く叩く、といったところかと思われます。皆様も盛り上げが要求されるカラオケの際など、ネロ技を使ってみてはいかがでしょうか。

ネロがうたっている最中は、必要な用ができても、劇場から外へ出ることが許されなかった。<中略> ある婦人は客席にいたまま出産したというし、<中略> こっそり塀壁から飛びおり、あるいは死んだふりをして棺架で場外へ運び出された人も大勢いたという。

この後も結構な頻度で歌に関する話が出てくる辺り、よっぽどだったんだな…と推察されます。

  

国外旅行をネロは生涯で二度計画した。<中略> しかしアレクサンドリアは、出発の当日に断念してしまった。<中略> というのも、神殿に挨拶廻りをしていて、ウェスタの神殿にぬかずき、いざ立ち上がろうとしたとたん、まず着物の裾がからまり、次いで何も見えなくなったほど烈しい立ちくらみに襲われた。

立ちくらみで断念するのが何ともありそうというか、人間くさくて好きです。

 

「ネロにふさわしくない、まったくネロらしくないぞ。こんな時こそ、しっかりとしなくては」

ネロの最期は、反乱の末の自決でした。その際なかなか決心がつかず、もたもたしている描写が出てきます。上の言葉を実際に言ったかは不明ですが、あっこいつ武人ではないなと思わせる潔くなさが好きです。